ともりの蹴球戦記

サッカーを基本に、気付いたこと、思ったことを気ままに書いていきます。

東アジアカップ2戦目を終えて、ハリルの考えを読み解く

東アジアカップ:2戦0勝の不安の中に見る、ハリルの思惑

 

東アジアカップを見ていて、日本代表の今後が不安を覚えたのは

僕だけではないだろう。

 

ハリルホジッチといえば、ワールドカップのアルジェリアしかり、

南アフリカ大会の前にエレファンツ(コートジボワール代表の愛称)

を率いて、魅力的なチームを作り上げていた事も踏まえ、

就任当初はいい監督を引っ張ってこれたと、協会も賛辞を送られる程

期待度が高かった。

 

しかし、その結果が0勝1分け1杯なのだから余計不安がつのる。

 

日本のサッカーファンとしては、前回優勝の看板を引っさげ、

東アジアカップでどの様なサッカーを、ハリルが見せてくれるのか

期待が高かったのは容易にうかがい知れる。

 

しかし、そこで見られたサッカーは、格下の北朝鮮戦なのにも関わらず、

いいサッカーは見れず、挙句の果てには後半に逆転されてしまう。

 

韓国戦にいたっては、攻めることさえ出来ていない。

そんなサッカーを見せられて不安に思わない方がおかしい。

 

そんなハリル思惑はどこにあるのだろうか。

 

日本代表を導くハリルの思惑とは

 

ハリルは今、一貫してカウンター戦術を取っている。

でも、これがハリルの戦術だとは考えたくない。

 

その理由は、エレファンツを率いていた時も、ワールドカップで

アルジェリアを率いていた時も、戦術に一貫性はない。

堅守速攻で試合をしたと思えば、高い位置からのプレスから

ショートカウンターでしとめる試合も多かった。

 

さらに言えば、攻めきれないとみるやいなや、ボールをキープし

サイドを活用して攻める、そんな試合もみうけられたのである。

 

ハリルの率いたチームで一貫性がある部分といえば、

ハードワークをして、守備時も攻撃時も全力で向かっていく。

そんなサッカーをしていたのが印象的だった。

 

では、そんなハリルの思惑はどこにあるのだろうか。

その現在地を探ってみる。

 

現在、海外組みがいる時も、今回のアジアカップもそうだが、

格上、格下関係なくカウンター戦術で戦っている。

 

相手のレベルによりプレスのかける位置の違いはあるが、

ボールを奪ったら、すばやく前線に送り、そこから早く攻める

ことを徹底している。

 

相手を見ると、シンガポール戦などは顕著だが、ゴール前から

出てこない相手に対して、早く攻めろといっても無理があるのは

素人目に見てもわかる。

 

ここで垣間見えてくるハリルの思惑がある。

 

日本代表は、今までずっと自分達のサッカーとは名ばかりの、

出来損ないのポゼッションサッカーをしてきた。

 

そこで一つ見て頂きたい記事がある。

 

スペイン代表のネグレトに対してのインタヴューが印象的だ。

インタビューで語られた内容は、こんな内容だった。

「日本は『ティキ・タカ』をやるリスクをわかっているのかな。たくさんの選手が相手陣内に攻め込んでボールを失ったら、一気にカウンターで自分たちのゴール前に迫られてしまう。とても危険だ」

 

「『ティキ・タカ』をやるには、ボールを失った瞬間に、それを奪い返す守備力が必要なんだ。はたして日本にはそれがあるのかな?」

 

日本代表に足りない部分が的確に表現されている。

 

守備能力が低いから、ボールを奪われないようにポゼッションをする。

この発想がそもそもの間違いなのだ。

 

守備能力があるのが前提で、その上でポゼッションをするから

負けない、負けるリスクの少ないチームが出来上がる。

 

と考えると、そこにハリルの思惑があるのではないかとも思えてくる。

 

ハリルの思惑は、まず守備能力を高めることが先決。

無い、弱いでは通用しないのが現代サッカーなのを一番理解している

のだろう。

 

まず、ロシアワールドカップに向けてチームを作っていくに当たって

無い部分を底上げし、弱い部分を提言して改善する。

 

その作業を、東アジアカップを通して行っているのではないか。

 

それが、1戦目の試合後に協会幹部に提言した部分なのだろう。

日本代表の強化は、Jリーグの強化なくして行えない。

 

格下の北朝鮮や、東アジアカップでは一番強いといわれている韓国。

その韓国でさえも、そんないいサッカーはしていない。

 

その相手に、守ることに必死になり、フィジカル能力で負けて

ボールキープもままならない現状に待ったを掛ける事が、今回の

東アジアカップの課題だったのではないだろうか。

 

日頃から強いプレッシャーに耐え、その中でゲームを作る能力を養う。

それは、Jリーグ自体がプレッシャーの強いリーグに変えていくしかない。

 

一朝一夕で出来ることではないが、やらないと世界と戦えないことを

熟知しているのだろう。

 

守備の強さを改善して、カウンターサッカーが完成を見る頃に、

ポゼッションサッカーとの融合をみて、2通り、3通りの戦術の取れる

エレファンツや、アルジェリアのようなチームに育て上げるのが

ハリルのワールドカップへの道なのではないだろうか。

 

ただ、深読みしすぎて擁護に廻りすぎると、結果が伴わずワールドカップ出場を

逃す様な事になれば大変だ。

 

そこは協会に管理してもらい見守るのも必要な気がする。

 

世界で戦えるディフェンダーが居ない現状を考えれば、国内から

戦える選手を出すしかない。

そのアプローチをしているのであれば、期待が持てる。

 

しかし今は、その期待を裏切らないでもらえるのを祈るしかないのだろうか…